遺言書の本文は、原則として遺言者本人が手書きします。
パソコンで作成した文章を印刷し、最後に署名・押印しただけでは、自筆証書遺言の本文としては認められません。
遺言書には、作成した日を特定できるように年月日を記載します。
例えば、
令和8年10月1日
のように記載します。
「令和8年10月吉日」のように、日付を特定できない書き方は避ける必要があります。
遺言者本人が氏名を自筆で記載します。
自筆証書遺言には、遺言者本人の押印が必要です。
実印でなければならないという決まりではありませんが、作成後の紛争防止なども考えながら使用する印鑑を検討します。
自筆証書遺言という名称から、
「財産についても全部手書きしなければならない」
と思われることがあります。
現在は、財産目録については自筆する必要はありません。
例えば、不動産が複数ある場合には、登記事項証明書のコピーを財産目録として添付する方法もあります。
預貯金についても、通帳のコピーなどを利用できる場合があります。
ただし、自筆ではない財産目録を使用する場合には、すべてのページに署名・押印が必要です。
遺言書では、
「どの財産を、誰に残すのか」
が分かるように記載することが重要です。
不動産については、登記事項証明書を確認し、
・所在
・地番
・家屋番号
などから対象となる不動産を特定します。
預貯金については、
・金融機関名
・支店名
・預金の種類
などを確認しながら記載します。
財産の表示が不明確だと、遺言者が亡くなった後の相続手続きで問題になることがあります。
自筆証書遺言の訂正には、法律で定められた方法があります。
単に修正液や修正テープを使用すればよいわけではありません。
訂正箇所を示し、変更した旨を付記して署名し、変更箇所に押印するなど、一定の方式に従う必要があります。
訂正箇所が多くなった場合には、無理に修正を重ねるより、新しく書き直した方が分かりやすいこともあります。
自筆証書遺言を作成するために、必ず封筒に入れなければならないわけではありません。
ただし、自宅で保管する場合には、
・紛失
・破棄
・改ざん
・遺言書が発見されない
といったリスクについて考えておく必要があります。
封印された遺言書が相続開始後に見つかった場合には、家庭裁判所以外で開封しないよう注意が必要です。
自宅で保管した自筆証書遺言は原則として検認が必要です
自宅などで保管されていた自筆証書遺言については、遺言者が亡くなった後、原則として家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
検認とは、遺言書の状態や内容を確認し、その後の偽造や変造を防止するための手続きです。
検認によって、
「この遺言書は法律上有効です」
と家庭裁判所が判断するわけではありません。
→ 遺言書の検認について詳しく見る
自筆証書遺言には、法務局の自筆証書遺言書保管制度があります。
この制度を利用すると、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができます。
自宅保管と比較して、
・紛失を防げる
・破棄や改ざんのリスクを減らせる
・遺言書が発見されないリスクを減らせる
といったメリットがあります。
さらに、法務局で保管されている自筆証書遺言については、相続開始後の家庭裁判所での検認が不要です。
→ 自筆証書遺言書保管制度について詳しく見る
自筆証書遺言として法律上有効となるための方式とは別に、法務局で保管してもらうための様式上のルールがあります。
例えば、
・A4サイズの用紙を使用する
・片面に記載する
・所定の余白を確保する
・複数ページの場合にはページ番号を記載する
・用紙をとじ合わせない
などです。
法務局の保管制度を利用する予定であれば、最初から保管制度の様式に合わせて作成する方がスムーズです。
自筆証書遺言書保管制度を利用する際には、法務局で遺言書の方式について外形的な確認が行われます。
しかし、
「この内容なら相続争いにならないか」
「遺留分に問題はないか」
「この書き方で希望どおり不動産を取得してもらえるか」
といった遺言内容そのものについての法律相談を受ける制度ではありません。
内容に不安がある場合には、遺言書を作成する前に専門家へ相談する方法があります。