2026年 成年後見制度改正|後見・保佐の廃止と補助への一元化
2026年、成年後見制度を大きく見直す改正法が成立しました。
これまでの法定後見制度では、本人の判断能力の程度に応じて、
後見
保佐
補助
という3つの類型に分かれていました。
2026年の改正では、後見と保佐の制度を廃止し、「補助」の制度に一元化するという大きな変更が行われます。
本人の判断能力だけで一律に支援内容を決めるのではなく、本人にとって必要な範囲に応じて支援内容を定める制度へ見直されることになります。
2026年、成年後見制度を大きく見直す改正法が成立しました。
これまでの法定後見制度では、本人の判断能力の程度に応じて、
後見
保佐
補助
という3つの類型に分かれていました。
2026年の改正では、後見と保佐の制度を廃止し、「補助」の制度に一元化するという大きな変更が行われます。
本人の判断能力だけで一律に支援内容を決めるのではなく、本人にとって必要な範囲に応じて支援内容を定める制度へ見直されることになります。
注意したいのは、改正法が成立したからといって、すでに新しい成年後見制度へ変わっているわけではないことです。
「民法等の一部を改正する法律」は2026年6月17日に成立し、同月24日に公布されました。
成年後見制度に関する改正は、
公布の日から2年6か月を超えない範囲内で、政令で定める日
から施行されます。
したがって、2026年10月現在は、
後見・保佐・補助の3類型からなる現在の制度が引き続き利用されています。
新制度の施行前に成年後見制度の申立てを行う場合には、現在の制度を前提に手続きを行うことになります。
現在の法定後見制度では、本人の判断能力の程度によって制度が分かれています。
後見
判断能力を欠く常況にある方
保佐
判断能力が著しく不十分な方
補助
判断能力が不十分な方
後見の場合には成年後見人に広い代理権が与えられ、本人が行った日常生活に関する行為以外の法律行為について広い取消権が認められています。
一方、補助では、家庭裁判所が必要と認めた特定の法律行為について、補助人に代理権や同意権・取消権を与える仕組みとなっています。
改正後は、
後見制度を廃止、保佐制度を廃止し、法定後見制度を基本的に補助制度へ一本化します。
これまでのように、
「判断能力がこの程度だから後見」
「この程度なら保佐」
と類型を決め、その類型ごとに一定の権限を与える考え方から、
本人が実際にどのような支援を必要としているのかを重視する制度へ変わります。
現在の補助制度は、判断能力が不十分であるものの、後見や保佐の程度には至らない方が主な対象です。
改正後は、精神上の理由により事理を弁識する能力が不十分である方全体が補助制度の対象になります。
つまり、現在であれば「後見」や「保佐」に該当するような方も、新制度では補助制度の中で必要な支援を受けることになります。
改正後の大きな特徴は、必要な行為について必要な権限を与えるという考え方です。
家庭裁判所は、必要があると認める場合に、例えば、
預貯金の払戻し
借入れや保証
不動産の処分
訴訟
贈与や和解
相続の承認・放棄
遺産分割
などの特定の行為について、補助人の同意を必要とする旨の審判をすることができます。
また、特定の法律行為について補助人に代理権を与えることもできます。
これまで以上に、本人にとって必要な範囲だけ支援する制度になることが想定されています。
成年後見制度については、
「一度後見が始まると本人の権限が広く制限される」
「必要な手続きが終わっても制度を終了しにくい」
といった問題が指摘されてきました。
改正後は、補助人へ与えられた同意権・取消権・代理権について、必要がなくなった場合には、その全部または一部を取り消すことができる仕組みが明確にされています。
さらに、すべての権限について必要性がなくなった場合には、補助開始の審判そのものを取り消すことになります。
そのため、
必要なときに必要な範囲で利用し、必要がなくなれば終了する
という方向性が、より明確になります。
今回の改正について、
「成年後見が数年ごとの有期制度になる」
と説明されることがあります。
しかし、成立した改正法では、すべての法定後見について一律に「○年間で自動終了」とする仕組みにはなっていません。
ポイントは、支援の必要性がなくなった場合に権限や補助開始の審判を取り消せるようにすることです。
したがって、一定期間が経過すれば自動的に成年後見制度が終了するという制度ではありません。
現在の成年後見制度で「後見」に該当するような、判断能力を欠く常況にある方についても、新制度では補助制度の中で支援します。
ただし、必要がある場合には家庭裁判所が「特定補助人」を付することができます。
特定補助人には、一定の重要な法律行為について取消権が認められるほか、
本人に対する意思表示を受領すること
本人の財産について保存行為を行うこと
などの権限が認められます。
また、必要に応じて特定の法律行為について代理権を付与することもできます。
つまり、現在の成年後見制度のように一律に広い代理権を与えるのではなく、本人の状態と必要性に合わせて権限を組み合わせる仕組みになります。
改正後の補助制度では、本人以外の方が補助開始の審判を申し立てる場合には、原則として本人の同意が必要です。
ただし、本人が意思を表示することができない場合には、本人の同意を必要としない仕組みが設けられています。
同意権や代理権を付与する場合についても、本人の自己決定を尊重する考え方が基本となっています。
改正法が施行されたからといって、現在利用している後見・保佐がその日にすべて自動的に「補助」へ変更されるわけではありません。
施行日前にすでに後見開始または保佐開始の審判を受けている場合については、経過措置が設けられています。
原則として、従来の後見・保佐の規定が引き続き適用されます。
その後、必要に応じて新しい補助制度へ移行することができ、新制度による補助開始の審判がされた場合には、従来の後見・保佐の審判が取り消される仕組みとなっています。
そのため、
「改正法の施行日に成年後見人が全員補助人に変わる」
というわけではありません。
施行日前に後見開始や保佐開始の申立てをしていて、施行日までに審判が確定していない場合には、施行後は原則として新制度の補助開始の申立てとして扱われる経過措置が設けられています。
改正法の施行時期が近づいた段階では、申立ての時期によって適用される制度が異なる可能性があるため注意が必要です。
今回の改正では、法定後見だけでなく任意後見制度についても見直しが行われます。
現在は、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに任意後見契約の効力が生じます。
改正後は、家庭裁判所が行う「任意後見開始の審判」によって任意後見を開始する仕組みになります。
また、任意後見開始の際には家庭裁判所が任意後見監督人を選任することが原則ですが、監督人による監督が明らかに必要ないと家庭裁判所が認める場合には、監督人を選任しないこともできる制度になります。
現在の成年後見制度では、本人の判断能力の程度によって後見・保佐・補助という類型が決まり、それぞれ一定の権限制限が生じます。
一方、実際に必要となる支援は、
不動産を売却したい
施設へ入所したい
遺産分割をしたい
預貯金を管理してほしい
など、人によって大きく異なります。
今回の改正では、こうした実際の支援ニーズを踏まえ、本人に必要な範囲で制度を利用できるようにすることが大きな目的となっています。法務省も、高齢化や単身高齢者世帯の増加などを背景として、成年後見制度をより利用しやすい制度へ見直すとしています。
2026年10月現在、成年後見制度の改正部分はまだ施行されていません。
そのため、現在成年後見制度を利用する場合には、
後見
保佐
補助
という現在の3類型から、本人の判断能力に応じた制度を利用します。
新制度が施行されるまでは、現在の制度を前提に申立てを行います。
いいえ。
成年後見制度そのものがなくなるわけではありません。
現在の「後見」「保佐」という類型を廃止し、法定後見を原則として「補助」に一元化する改正です。
改正後の法定後見では、現在の成年後見人・保佐人に代わり、基本的に補助人が本人を支援する仕組みになります。
判断能力を欠く常況にあり、特に必要がある場合には「特定補助人」が選任されることがあります。
すぐに補助へ自動変更されるわけではありません。
現在利用中の後見や保佐については経過措置があり、原則として従来の制度が引き続き適用されます。
成年後見制度の見直し部分は、2026年6月24日の公布から2年6か月以内の政令で定める日に施行されます。
具体的な施行日は、今後の正式な案内を確認する必要があります。
いいえ。
特定補助人は、本人が事理を弁識する能力を欠く常況にあり、さらに家庭裁判所が必要と認めた場合に付される制度です。
認知症という診断名だけで自動的に特定補助人が付くわけではありません。
成年後見制度の改正については、今後、施行日や具体的な運用、申立書式などが順次公表される予定です。
最新の情報については、法務省の公式資料もあわせてご確認ください。
2026年改正は、現在の成年後見制度が始まった2000年以来の大きな見直しになります。
これまでの
「判断能力の程度によって後見・保佐・補助を選ぶ制度」
から、
「本人に必要な支援内容に応じて補助人の権限を決める制度」
へ変わっていきます。
ただし、2026年10月現在はまだ改正前の制度が適用されています。
今後、施行日や家庭裁判所の具体的な運用、申立書式などが公表されることが予想されますので、制度を利用する際には最新情報を確認する必要があります。